史読む月日―ふみよむつきひ―

歴史のこと、歴史に関わる現代のことなど。

何がどこに行くのか、わかっている人は誰もいない。

今年、2016年ももう残りわずかになって来た。個人的には、今年はとても大変な年で、来年になって運の流れが少しは変わり、いい方向に流れてくれると良いと思うのだが、世界的に見ても色々な大きな流れが変わる節目のような出来事がいろいろ起こったように思う。

アメリカのトランプ大統領の当選、イギリスのEU離脱、シリア内戦の激化、トルコのクーデター未遂からエルドアン大統領の独裁強化など。日本でも熊本地震、年末には糸魚川大火もあった。フィリピンでもドゥテルテ大統領の就任、中国海軍の西太平洋進出など、日本周辺でも予断を許さない、評価が難しい出来事がいくつもあり、天皇陛下が譲位の意志を示され、また三笠宮殿下が亡くなるなど、日本の深奥部においても大きな変化を予感させるものが起こったと思う。

映画でいえば「シン・ゴジラ」、「君の名は。」、「この世界の片隅に」と、今年は珍しく3本も見たし、マンガでは「ハイキュー!」にかなりはまった。夏には「ポケモンGO」が大流行したし、ある種の回帰的な動きもあったのかもしれないと思う。

グローバル的な、またポリティカルコレクト的な、大きく言ってのインタナショナリズム、左翼リベラリズム的な動きに強くブレーキがかけられ、孤立主義的、一国主義的な動きが強くなって来て、また人文学を中心とした学問に対する風当たりの強さ、実務的でない基礎学的な方向性への資金が絞られて来て、80年代に20代を送った自分たちからするとその頃正しかった、また勢いがあった分野が全て否定されつつある感じがするのが、われわれの世代に取っての生き辛さのようなものにつながっているのではないかという気がする。

何が正しいとか正しくないかというのは時の勢いのようなものによる部分が多いというのは改めていうまでもないのだが、どこまでが時の勢いによる変化なのか、どこまでが不易流行の部分なのかという感触が、思ったより大きな部分が変わってしまったのだなと思えて、戦中から戦後にかけて生きた人たちも同じような感触を持ったのだろうと思う。

何をどういう方向に動かせばいいのか、よくわからない。もとより、そのために今何をすればいいのかも。わからないまま年が変わり、月日は動いて行こうとしている。何がどこに行くのか、本当にわかっている人は誰もいないだろうけど。