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史読む月日―ふみよむつきひ―

歴史のこと、歴史に関わる現代のことなど。

野村進『千年、働いてきました』を読んだ。(1)日本には、職人と権力の相互信頼関係があった。

千年、働いてきました―老舗企業大国ニッポン (角川oneテーマ21)

2006年に読んだ本だが、今でも印象に残っているので、少しこの本について書いてみる。(ウクライナについてのエントリも、順次更新予定)

 

野村進『千年、働いてきました 老舗企業大国ニッポン』(角川Oneテーマ21、2006)を

 

日本には創業100年を超える老舗企業が10万社以上存在するのだという。一番古いのは法隆寺創建当時からある金剛組で1400年以上。まあこれは別格だが、200年、300年ならごろごろあるようだ。これは世界的にも特殊なことらしく、ヨーロッパの創業200年以上の企業だけが加われるエノキアン協会で一番古いのはフィレンツェのエトリーニ社で、1369年創建だそうだ。日本にはそれより古いのが100社近くあるという。

 

そしてもうひとつ特徴的なのは、これらの企業の半数が製造業、つまり職人の企業なのだという。これはよく言われるように日本は職人の地位が高いということもあるが、もうひとつには権力の手厚い庇護があったこと、逆に言えば職人の側が権力を信頼していることも大きいということを著者が書いていて、それはなるほどと思う。

 

職人と権力の相互信頼関係のない社会、たとえば植民地社会などではこういう老舗企業は成立し得ないというのはその通りだなと思った。

 

(その2)に続きます。